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それより後方の衝撃水圧はほとんど計測していない。V/W1/6が25程度以上になると、船尾端における衝撃加速度が船首より大になる場合があることから、そのようなときの船尾端の衝撃水圧は最大値になると考えてよく、そこで

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船尾に船底傾斜のあるときは補正係数Kを乗じてP1AEを求める。
船首からlの位置より後方の任意の点の水圧は、同一バトックライン上でP1とP1AEとにより挿間法によって求める。
4.3.2 水圧の分布
耐波試験において、水圧分布を直接計測することはかなり困難である。使用計器のチャンネル数から、水圧計測に当てられる点数はさほど多くないし、水圧計を集中して配置すればその時の波長と艇の特性により最高値が計器の分布範囲に来るとは限らないし、かといって広く分散させれば、これまた最高値が捕らえられる保証はない。図4.12.1は魚雷艇3の計測例である。
救難艇2の場合、比較的うまく分布をキャッチしているので例として示す。早送り記録ではないので、時間的経過は正確とは言えない。
この艇は全長で25m、試運転時の排水量49トンで、模型試験から求めたピッチング周期は1.85秒であり、同調の可能性はかなり高い。31ノット向波航走においてスラミングを発生したときの例及びスラミングはないが、比較的高い水圧を計測した例について、水圧変動の時間経過図を図4.12.2に示す。計測したスラミング発生時の出会周期(前の応答から当該応答まで)は2.4秒、スラミングのない例の出会周期は1.6秒である。24ノット、28ノット各向波でスラミング発生時の出会周期各1例をとるとそれぞれ2.4秒、1.7秒で、必ずしも固有周期に一致したときにスラミングを発生しているとは限らない。
スラミングのないときの例では船底中央部付近から水圧が上がり始め、順次船首側に進み、約1.4秒で定常状態に戻っているが、スラミング時にはむしろ船首に近い点から水圧が上がり、短時間のうちに各点でピークに達し、0.4秒までに全点が定常に戻っている。スラミングの例ではP2点よりさらに前方に高圧部があったかとも思われるが、このような点が計測計画の難しさになる。
不規則波中のスラミングは、船底のどの部分であれ接水する時の波斜面が船底のトリム角に一致し、比較的広い面積が同時に着水したときに発生し、ピッチング運動に従って中央部から前方へかけて順次に着水するときはスラミングにならないようである。

 

 

 

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